文部科学省は2020年度からすべての小学校で英語を必修化。また中学校の英語教育では生徒が英語で意見を伝え合う「言語活動」の充実が必須であることを、新学習指導要領で掲げました。しかし、2023年度に実施された全国学力調査では、中学3年生の英語4技能「聞く、読む、書く、話す」のうち、「話す」の平均正答率が1割強にとどまるという結果に。これに対し文部科学省は「学習状況に課題があることも明らか。授業改善につながる研修の支援などに取り組む」としています。※
かねてより日本では「高等教育を受けた人であっても英語を話せない、苦手な人が多い」と言われてきましたが、近年の初等・中等教育段階での英語教育はどう変化しているのでしょうか。今回は、大阪府の教育行政に17年間携わり、現在は小学校から大学までの英語教育における指導の在り方を研究する蛭田勲教授に、日本の英語教育の変化とその目的、現状の取り組みについて解説いただきます。
朝日新聞デジタル「中3英語スピーキング、正答率12% 0点が6割 全国学力調査」(2023年7月31日)
中國新聞デジタル「【社説】小中学校の英語教育 対話力、授業でどう高める」(2023年8月28日)
INDEX
新学習指導要領で英語教育はどう変わったのか?
キーワードは「主体的・対話的で深い学び」
(編集部)先生は大阪府教育委員会時代には、主に英語教育を中心とした授業デザインの研究や普及に携わってきたそうですね。
(蛭田先生)10年余り高校で英語教諭として務めたのち、大阪府庁の知事部局を経て教育庁に入り、主に英語教育改革に携わりました。小中高とかなりの数の学校に足を運び、講師として校内研修に参加し指導助言をするなど、現場の先生方と共によりよい授業作りを目指した授業改革への支援や、カリキュラム作りに携わってきました。
(編集部)大阪の英語教育改革に携わってこられたんですね。そんな蛭田先生に、まずは2020年度から全面実施された新学習指導要領で、英語教育がどう変わったのか確認していきたいと思います。
(蛭田先生)キーワードは「主体的・対話的で深い学び」です。これは以前の学習指導要領のキーワードだった「アクティブ・ラーニング」に代わって登場した言葉です。なぜアクティブ・ラーニングが学習指導要領から消えてしまったかというところからお話しすると、現場の先生方がアクティブ・ラーニングの「アクティブ」を文科省が考えていたものとは少し違ったイメージで理解してしまったからなんですね。 アクティブ・ラーニングの狙いは、子どもたちの思考をアクティブにすることでした。しかし、アクティブの意味を日本語の「活発な」と言う意味で捉え、授業ではペアワークやグループワークなど子どもを活動させれば良いと、生徒たちの「アクティブな思考」ではなく「アクティブな活動」に指導の力点が置かれるようになりました。確かに指導の型を変えることには成功したかもしれませんが、型に拘りすぎて中身が伴わなかったため、何のためにペアワークやグループワークをするのかその目的が見えなかった。当時はよく、アクティブ・ラーニングは「活動多く、学び無し」などとささやかれたものでした。そこで文科省は、アクティブ・ラーニングの本当の意味を日本語に置き換えて再定義しました。それが「主体的・対話的で深い学び」です。
(編集部)「主体的・対話的で深い学び」とは、どういう意味なのでしょうか?
(蛭田先生)与えられた課題に対して子どもたちが主体的に取り組み、課題解決に向けて友達とのディスカッションやグループワークによる対話を通して自分の考えを広げていきます。そして得られた知識を関連づけ練り上げた自分の考えを作文や発表のような形で表現することで深い学びに繋げる、ということです。また同時に、子どもたちに自分の学習活動を自ら振り返らせることで、身に付いた資質・能力を自覚し、自分がどのように成長したかを認識させようというのが、この「主体的・対話的で深い学び」が意味することです。
ですから英語の授業においても、文法や語彙などの知識を一方的に注入するだけではなくて、読んだり聞いたりした英文について、学んだ語彙や表現、文法の知識を活用しながら自分の考えを友達と話し合って広げていき、最後に再度考えを練り上げ、それを英語で書いたりプレゼンテーションしたりするという、いわゆる思考の言語化に力を入れることが新学習指導要領では求められています。また実際に現場の授業も、そういう方向に動きつつあります。
ねらいは「思考力」の育成。探究学習にも通じる目的
(編集部)新学習指導要領を踏まえて、授業はどのように変化しているのでしょう?
(蛭田先生)現在の学校現場では、文科省のGIGAスクール構想をもとに1人1台のタブレット端末を持つようになってきており、これが授業改善において変化をもたらす大きな転機になっています。例えば授業の一部を映像配信してタブレットを使って家庭で事前学習させることで、学校ではディスカッションやプレゼンテーション中心の反転授業が可能となります。また発表用の資料をタブレットで作り、サーバーで共有して話し合ったりもできるわけです。小学校を中心に、教科書で身につけたい力を明確にしたうえで、子どもに「最後にこんなプレゼンテーションするよ、だからこんな力が身に付くよ」というゴールを明確にした授業ができるように動き出しています。それが中学そして高校へと、徐々にではありますが浸透してきている状況ですね。
(編集部)タブレットを使ってプレゼンテーションとは、まるでビジネスパーソンのようです。ですが将来子どもたちが社会に出たときに必要なスキルだと思うと、小学校から鍛えておくことは重要ですね。
(蛭田先生)英語はあくまでもコミュニケーションするためのツールですから、「聞く、読む、書く、話す」の4技能ももちろん大事なのですが、一番重要な技能は「思考力」なんです。ツールとしての英語をどんなに磨いても、それに乗せるコンテンツがないと人と話はできません。言い換えれば思考力がないと英語でコミュニケーションはできないと言えます。しかし英語の授業だけで思考力を鍛えるのは難しく、教科横断的に取り組まなければなりません。そこで文科省が今、力を入れているのが「探究」です。
(編集部)高校でも必修の「総合的な探究の時間」をはじめ、「古典探究」や「理数探究」など「探究」の名前が付く科目が創設されたりしましたね。
(蛭田先生)グローバルな社会の中で他国の人たちと交渉していくには、新たな課題を見つけて主体的に取り組み、課題解決のために自分の考えや価値観を相手に伝えていくことが必要です。「探究」はそうした課題解決のための思考力・判断力・表現力、まさに生きる力を育む科目であり、これが子どもの英語の運用能力にも影響していくことでしょう。 私は今もいろいろな学校を訪問するのですが、そこで先生方から「生徒がなかなか英語を話さない」と相談を受けることがあります。それは、授業の中で子どもの心が動いてないからなんですね。人間は心が動くと自然と言葉が出てきます。そして心を動かすには、興味のある課題を設定して楽しみながら思考するような場面を作らなくてはなりません。子どもが課題に興味関心を示し主体的に取り組み、人と対話をしながら思考して判断して、そして再構築した自身の考えを自分の言葉で表現する。そんな授業づくりが今の教育現場では求められています。
全国学力調査で明らかになった「即興的思考力」の必要性
(編集部)2023年度に実施された全国学力調査では、中学3年生の英語力、特にスピーキングテストの結果が低いことが話題となりました。
(蛭田先生)平均正答率が12%という、かなりショッキングな数字でしたよね。例えば「オーストラリアにホームステイしている中学生が動物園に行き、ホストファミリーへのお土産を買うことになった。あなたならどれをお土産に選びますか? 選んだものとそれを選んだ理由を20秒後に答えなさい」という問題では正答率はわずか2.9%と非常に低かったんですね。
(編集部)考える時間が20秒しかないのですね!
(蛭田先生)そうなんです。もし教室でクラスメイトと時間をかけてディスカッションしたうえで回答を出すということなら、高い正答率が出たでしょう。ですが20秒という短い時間がネックとなりました。また環境問題についてのプレゼンテーションを聞いて、それについて自分の考えを述べるという問題では、正答率が何と0.4%と最も低かったんです。この問題も回答を考える時間がわずか1分という、とても短い時間でした。なぜこのような問題が出題されたかというと、新学習指導要領では中学でも高校でも英語を使う際の即興性が求められていたからです。
即興で考えて回答するというのは、日常生活では当たり前のシチュエーションです。だからこそ文科省も、「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせる指導をしなさい」、すなわち授業ではリアルなコミュニケーションの状況を設定することで即興性を育みなさいと言っているわけです。
(編集部)思考力を育む授業に転換しているものの、即興性という部分ではまだ足りていない部分が全国学力調査から見えてきた。ですが「子どもの英語を話す力が育っていない」と安易に判断するのは早計だということですね。
(蛭田先生)そうです。だから文科省も「場面設定が難しすぎた」とコメントしています。子どもたちの英語力が落ちたわけではなく、簡単に言えば生徒がこうした出題に慣れていなかった、学校の授業で即興性を磨くような指導をあまり受けてこなかったということです。ですがこの結果を受け、学校の先生方はしっかりと授業を改善してこられるはずです。次回に期待ですね。
英語教育はティーチングからコーチングへ
「CAN-DOリスト」で変わる中学・高校の英語教育
(編集部)2022年度から高校の学習指導要領に観点別評価が導入されました。こちらにも触れていきたいと思います。
(蛭田先生)観点別評価は、私たち大人世代が受けてきた「知識の習得」のみにフォーカスした教育への反省から始まったものです。小・中学校では既に導入されて久しいものなのですが、学校教育法で定義された学力の3本柱である[1]知識・技能 、[2]思考・判断・表現、[3]主体的に学習に取り組む態度、の3つを評価の観点として定め、これらに基づきペーパーテストの結果だけではなく、日々の学習状況を含め評価することが求められています。噛み砕いて言うと、これまで評価の中心となっていたペーパーテスト等によって測る「基礎・基本的な知識と技能」に加え、先ほどから重要だとお話ししている「思考力・判断力・表現力」とともに、「学習意欲」もとても大切な学力の要素であるとし、それらを含め学力を総合的に評価することが求められるようになりました。
(編集部)ペーパーテスト等では測れない思考力、判断力、表現力や日々の学習状況を、どう評価しているのですか?
(蛭田先生)文科省は英語の授業の年間計画を立てる際に「CAN-DOリスト」という単元ごとの学習到達目標を作ることを義務付けています。要は教員が達成目標である「めざすべき山」を設定し、その山を生徒たちに見せることで、自分たちはあの山の頂上をこういう方法でめざすんだといった具体的な目標を生徒に理解させて授業を行いなさいということです。
その上で、先ほど言った3つの観点のそれぞれについて、何がどのようにできていればABC評価のA評価になるのか、どの部分が足らなければC評価になるのかという、いわゆる「ルーブリック」という評価規準も目標とともに示す必要があります。特にプレゼンテーションや英語による自由記述の作文、あるいは学習に取り組む態度などはペーパーテストと違い、明確に点数化しにくい評価対象です。そのような点数化しにくい活動や態度を評価するには今言った「ルーブリック」が絶対に必要で、それでもって客観的な評価が可能になります。
(編集部)「CAN-DOリスト」の内容は、生徒も見ることができるのですか?
(蛭田先生)もちろんです。このリストは生徒や保護者に共有されており、それにより生徒も活動の中で「自分は今はB段階だけど、Aをめざしてリストに書かれているこれに取り組もう」と、自身の今の学習状況を振り返ることで学びの意欲を上げるアクセルを踏むことができます。また「CAN-DOリスト」は教科の枠を超えて教員間で共有することが推奨されています。教員がマインドセットを変えて、教科の専門性にとらわれずよい授業を共有して授業改善に取り組むことが、日本の教育の底上げには重要だと私は考えています。
(編集部)教員のマインドセットを変えることも大切なのですね。
(蛭田先生)私は「ティーチングからコーチングへ」という言葉をよく使っています。どちらも日本語訳では「教える」ですが、ティーチングは知識の一方的な教授であり、これは知識さえあれば誰にもできることです。一方でコーチングは双方向なんです。よく言われる例えですが、目指す山を決め、その山の頂上に子どもたちを連れていくために、一人一人の能力や特性に応じて適切なサポートを行なったり、声掛けをしたりするようなことです。私はこれがまさに指導の本質だと思っています。実際に、授業で目標を明確にし、それぞれの活動が目標の達成に向けてどのような意味を持っているのかを生徒に理解させながら指導される先生は、優れたコーチングスキルを持っておられると言えます。
(編集部)「CAN-DOリスト」をもとにコーチングを意識した授業ができている学校は、増えてきているのですか?
(蛭田先生)コーチングを意識し、プレゼンテーションなどのパフォーマンスを評価する授業を取り入れている学校は、私の希望的観測で言うならば半数は超えているのではと思います。事実、結果がでているかは別として、多くの学校がそのように動きつつあります。またその成功例として、北野高校の英語の授業を紹介したいと思います。
大阪府立北野高等学校の英語授業の先進的な取り組み
(蛭田先生)昨年、本学大学院の授業の一環で、北野高校の英語授業を見学しました。実は私は教育庁にいた10年ほど前にも、北野高校の英語授業を視察したことがあります。その時見せていただいたのは、まるで大学の英語学の講義のようなアカデミズムにあふれた素晴らしい授業でした。しかし、今回目にしたのは、全く別次元の授業でした。
見学したのは高校2年生の授業で、まず先生も生徒もオールイングリッシュで日本語は一切使いません。この日の授業はOne minute chatという英会話から始まりました。「“What did you do last weekend?(先週末は何をした?)”から会話を始めよう」という先生の言葉で、生徒はペアになりチャットを始めます。彼らは即興的に会話を展開させながら、お互い相手の言葉に“Really?” “Nice!”などの相槌と共に付加的な質問を挟むなど、リアルな会話を楽しんでいる姿が印象的でしたね。その後の教科書を使った授業でも、教科書の内容について生徒に自分の考えを持たせた上で、続くペアワークでのディスカッションを通して自分の考えをブラッシュアップしていきます。 最後に先生が、生徒個々に自分の考えを発表させました。ここで素晴らしかったのが、一人ひとりの意見に先生が英語で「よくそれに気づいたね!」「ここが良かった、素晴らしい! I love your idea!」などと、心に響くような励みになるコメントを寄せていたことです。そんな学習環境ですから、生徒の心にも自然と自信と自尊感情が育まれるのでしょうね。だから生徒は間違いを恐れず積極的に英語で自分の考えを発言している。学びにおけるよい循環が教室に生まれており、これこそコーチングだと感動しました。
(編集部)素敵な授業ですね。ですがそのような授業は受験対策になるのでしょうか?
(蛭田先生)もちろんです。このような授業スタイルの導入時には受験指導という観点から疑問視する声もあったそうですが、結果として、模試での英語の成績のみならず進学実績も上がっていったそうです。やはり英語は使わないと上達しません。同時に失敗を恐れず英語を使おうとするモチベーション、すなわち生徒の英語に対する学習意欲の向上も不可欠であり、そのためにも教員がコーチングスキルを駆使して生徒たちに成功体験を重ねさせることが必要です。
(編集部)思考したことを言語化する力と、そのベースになる失敗を恐れずに自信を持って挑戦する力が身につくよう導くのがコーチングなのですね。
(蛭田先生)もちろん北野高校の生徒は優秀です。中学時代は1番の成績しか経験したことがない生徒も多いでしょう。しかし北野高校に進学したことで、生徒の多くが2番以降を経験することになります。中には自尊感情が揺らぐ生徒もいるかもしれません。だからこそペーパーテスト以外の、例えばプレゼンテーションのような数値として表せないパフォーマンス評価と、何よりも生徒の学習意欲を向上させるコーチングスキルが必要だったわけです。このような授業への考え方は他のどんな学校でも同様に有効でしょう。
英語教員、そして保護者に伝えたいメッセージ
大学受験英語はゴールにあらず。 子どもたちの心に火をつけよう
(編集部)最後に改めて、英語教員や保護者に向けた子どもへの声掛けのポイント、コーチングのアドバイスがあれば教えていただけますか?
(蛭田先生)これは学校現場でも家庭でも一緒のことですが、例えばテストで良い点が取れた時に「よかったね」とだけ言うのは、子どもたちを伸ばす声がけにはならないように思います。「よかったね」はあくまでも「労いの言葉」であって、子どものやる気を伸ばすのは「褒め言葉」だと思います。褒め言葉には「何ができたからよかった」のかと、労いに価値づける言葉を加えることが必要です。普段から学校でどんなことを考え、また何をしたのかを話す子どもの言葉に耳を傾け、例えば「お父さん・お母さんは、あなたがこうやって努力して、この結果につながったのを見ていたよ。あなたがそう考えて行動したことは、素晴らしいと思う」などと、具体的に褒めてあげることが大切です。そういう価値づけた褒め言葉が子どもの背中を押し、心に火をつけることにつながります。
(編集部)「頑張ったね、偉かったね」だけでは不十分で、子どもが振り返りをして、何がダメだったかを反省しつつも、次は頑張ろうと思える言葉をかけなければならないんですね。
(蛭田先生)また、悪い点数を取ってきた時なんかは、中々難しいのですがアンガーマネジメントも必要でしょうね。子どもを育成するコーチングというのは、彼らを目標に向けて適切に導いていくことに他なりませんから。 私が座右の銘としているアメリカの作家・教育者であるウィリアム・アーサー・ウォードに、こんな名言があります。
平凡な教師は、言って聞かせる。 The mediocre teacher tells. 良い教師は、説明する。 The good teacher explains. 優秀な教師は、やってみせる。 The superior teacher demonstrates. しかし、最高の教師は、生徒の心に火をつける。 The great teacher inspires.
今の日本社会には、大きな希望を持って自身の目標に適した環境で頑張っている子どもたちもいれば、社会問題にもなっていますが、困難な家庭環境の中でヤングケアラーとして苦しみながらも頑張っている子どもたちもいます。どんな状況に置かれた子どもであっても、一人一人の心に、より良く生きていくための火をつけてあげたい。その火は決してメラメラと燃え上がるような火でなくていい。種火のような小さな火でいい。しかし、生涯決して消えることのない火をつけてあげる。それが教師の役割だと私は考えています。
知識というものはひょっとしたら明日には忘れるかもしれません。ですが一旦心についた火というものはなかなか消えないものです。そしてこの消えない火をつけることこそが、英語教育のみならず全ての教育に必要で、私自身、大学で教える今も「学生の心に火をつける」という言葉を常に意識しています。
英語は大学受験に合格するためだけに勉強するものではありません。インターネットの世界で最もよく使われている言語が英語であるように、今の世の中、英語と全く関わらず生きていくことは不可能です。しかし、たとえ英語が苦手でも今はAIをはじめさまざまなツールを活用できますし、ブロークンイングリッシュでも日常会話でしたらまず問題ありません。ではなぜ英語を勉強するのかといえば、一言で言うなら、世界の人たちと共によりよく生きていくためなんです。今、街を歩いてもインバウンドで海外から来た多くの人々と出会います。そういう多様な価値観を持つ世界の人々の心と心を繋いでいくのは「言葉」であり、それが世界の共通言語ツールである英語です。 近年では多文化マネジメントという言い方もされますが、異なる文化を持つ人々と衝突を起こさず共に生きていけるように、そして将来自分がグローバルな世界でよりよく生きるために英語を学ぶんだということを、保護者の方は子どもに伝えてください。そして先生方には「生徒の心に火をつける」最高の教師をめざしてほしいと思います。
まとめ
2020年度から全面実施となった新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」をキーワードに、英語に限らず「自分の考えをブラッシュアップして、わかりやすく表現する」思考力の言語化が求められていることが分かりました。また教育場面においては、生徒が自身の学習目標を明らかにするよう導くこと、そして、教員の声がけなどで生徒の自尊感情を高めていく必要性を実感しました。 また子どもの思考力と自尊感情を育むには、学校はもちろん家庭でも「頑張ったね」といった単純な褒め言葉ではなく、子どもが考え努力したことを具体的に評価することが大切で、子どもの心に火をつけることに繋がるという指摘も心に響きました。保護者の方にもぜひ実践いただきたいと思います。
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