【アフターコロナ・前編】国際化とイノベーション!地方自治体の海外プロモーションとは?

追手門学院大学 地域創造学部藤原 直樹

【アフターコロナ・前編】国際化とイノベーション!地方自治体の海外プロモーションとは?
自治体プロモーションの一環で世界遺産の熊野古道で外国人をもてなす追手門学院大学の学生(2017年5月)

新型コロナウィルスによる世界規模の移動制限で、グローバル化の流れに変化が生まれています。今回は、地方自治体の海外プロモーションについて詳しい地域創造学部の藤原直樹先生に、アフターコロナ時代の自治体に求められる海外戦略について話を聞きました。

地方自治体の海外進出

国際化とイノベーション!地方自治体の海外プロモーションとは?
パリ見本市の有田ブース

作りたい場所、売りたい場所

(編集部)最初に、グローバル化とそれに伴って起こった変化について教えてください。

(藤原先生)グローバル化とは、ヒト・モノ・カネ・情報の流動性が高まることを指します。

技術の発達によって、車や飛行機のように、短期間で長距離を移動する手段が次々に生まれ、移動にかかるコストや時間が劇的に縮まりました。情報はもっと極端で、インターネットの普及により、海外の情報を低コストで入手できるように。これがグローバル化です。

かつては1つの場所に人が集まりビジネスをすることで地域が成長しましたが、グローバル化に伴い国際交易が発達し、ビジネスのあり方は「世界で一番適した場所で作り、一番高く売れる場所で売る」という形に変わりました。これにより、企業と人材の誘致に向けて、都市同士がグローバルな競争を繰り広げるようになったのです。

有田焼、ケーキ屋さんも海外に

(編集部)地方自治体の海外展開の取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか?

(藤原先生)日本では少子高齢化が進んで人口が減り、国内のマーケットが小さくなっています。反対に、アジア諸国や中国では、人口も増えて国民一人あたりの所得も増え、消費が拡大しています。企業がビジネスを継続するためには、アジアをはじめとする海外に向けて商品を売っていく必要があるのです。

以前は車を海外で売る例が多かったのですが、最近は外食やサービスの海外展開が広がっています。佐賀県の有田焼をシンガポールで売ったり、ラーメン屋やケーキ屋さんがアジア展開していたり。大企業だけでなく、中小企業もどんどん海外に出ていっている状況です。

地方自治体も、例えば見本市に自治体の合同ブースを出展することでこの動きに貢献しています。1月に私が参加したパリでのギフトショーには、和歌山、徳島、京都などがブースを出していて、畳を使った草履や欧米風のデザインの有田焼などが展示されていました。インバウンド需要の高まりに合わせて、このような動きが活発化しています。

(編集部)そうした取り組みでどのような成果が挙がっているのでしょうか?

(藤原先生)すぐに成果が出るものではありませんが、一つの成果として、銅製品の会社(富山県)の事例があります。海外の有名な化粧品会社とコラボして、企業のノベルティを作ったことで、日本国内でのブランドイメージが高まり、国内での売り上げが上がりました。

海外に出ることで新たなアイデアを得て、プロダクトイノベーションに生かすことができれば、都市ブランディングや売り上げアップにつながる好循環が生まれます。

椿オイルからはじまった九州コスメ

(編集部)今後の参考になりそうな取り組み事例はありますか?

(藤原先生)いろいろな可能性がありますが、化粧品クラスターを目指す佐賀県の唐津がおもしろい取り組みをしています。

地元で採れる椿油を看板にして、化粧品会社が1500社以上集まるフランスのシャルトルと地域間連携を結びました。設立した外郭団体の代表にはフランスの化粧品会社の元社長を起用して、シャルトルの化粧品クラスターと連携しながら商品開発を行っています。パリでの見本市をきっかけに台北の化粧品クラスターとの連携も始まっているほか、奈良の化粧品会社が佐賀に生産拠点を置くなど、国内の企業も集まってきています。

椿油自体は珍しいものではありませんが、「海外企業と連携することで地域ブランドを強化し、地域に企業を呼び込む」というコンセプトで攻めている、おもしろい事例です。唐津にある化粧品の認証検査会社のアイデアから始まった動きですが、企画された製品を「九州コスメ」としてECサイトで売り出すほどに発展してきています。

(編集部)自治体と企業それぞれの役割はどうなっているのでしょうか?

(藤原先生)公的機関である自治体には信頼があります。これを活かして海外の自治体や産業クラスターとのマッチングの場を作ることが自治体の役割です。

自治体によるフィルタリングの上で、優れた技術やアイデアを持った企業のマッチングを行うことで、成功確率が上がるわけです。一方、企業に求められるのはイノベーティブな活動。それに尽きますね。

まとめ

長きにわたってグローバル化が推進されてきた日本。インバウンドを意識した自治体の動きや、日本製の商品を海外に輸出するような動きは徐々に一般化しています。そんな中、新型コロナの影響によってリモート化が進み、世界との距離がぐっと近づいてきました。これにより、地方自治体のあり方だけではなく、働き方や、人材育成の意識も向かう方向が定まってきているようです。

次回、後編では、リモート化に伴う自治体の戦略や国際化に向けたキャリア育成について、引き続き藤原先生に話を伺います。
後編の記事はこちら

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プロフィール

藤原 直樹

藤原 直樹 (ふじわら なおき) 追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 准教授 博士(商学)専門:地域政策

2015年 大阪市立大学 経営学研究科 博士課程修了
2017年~ 追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 准教授
主な著書に『グローバル化時代の地方自治体産業政策』(2018年 国際公共経済学会学会賞受賞) 等

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